h-3’s diary

趣味世界の独り言

空と地上の光が彩る山陰海岸の星空絶景

春から夏にかけての海越しの星空は、主に南岸エリアの太平洋が主役となります。

そして太平洋から星空の主役が去った10・11月の短い時期に、主役は日本海で登場。はくちょう座付近の天の川が見頃を迎えます。

 

ところが日本海側には「弁当忘れても傘忘れるな」の諺があるように、気持ちよく晴れる日が少ないのが星景撮影の泣き所でもあり難しさにもなっています。

また、前回触れたように漁り火や生活圏の明かりの影響もその難しさの一つです。

しかし、その難しさを差し引いても日本海の星空の魅力は素晴らしいものがあり、なんとかその魅力を捉えることはできないか?というのがこの秋のテーマでした。

 

そこで、ロケハンで撮影スポットを探索し、天気図のパターンから好天となりそうな日を選んで二度撮影に出撃したものの、諺の呪縛を思い知らされる結果でした、、、。

そしてついに訪れた「もうこれ以上は望めないほど申し分のない」気圧配置となった日。「もしこれで日本海の天気に泣かされたら、山陰での撮影からは撤退する」という、見切りをつける意味合いも含みつつ三度目の撮影にチャレンジ。

 

結果は絶好のコンディションという幸運に恵まれ、一晩で5箇所を移動しながらの撮影を堪能することができました。

 

 

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 まず最初の撮影地点に到着。

大阪を出発した時はどんよりした空模様でしたが、下道でのんびりこちらに向かう間に晴れ間が広がり、この時点でほぼ快晴を確信!

天文薄明ですから、見た目にはほぼ夜になってしまった感のある空も、写真ではこのように捉えられます。

飛行機の機窓から見る日没のように空のグラデーションが見えるのは、大気の薄い部分を照らす残照だからでしょうね。

大気の濃い部分を照らす日没直後の残照も好きですが、紺色の空が広がる海原に、橙色の差し色が徐々に弱まっていくあのピアニッシモのような天文薄明のニュアンスが好きです。

星撮りをする立場からすれば、「地球の陰に入ってきた」という高揚感もそこに加わるからなおさらですね。(笑)

 

 

 

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暮れると光の主役が地上の明かりに変わり、ガラリと光の趣が変わりますね。

雲があるのは前回の撮影時に撮ったものです。星を隠す雲も場合によっては味わい深い存在になりますが、撮影を始めるとどんどん雲が増えていきました、、、

この場合も、薄い雲が漁り火や地上光に照らされて美しいヴェールのようになりました。

 

 

 

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縦構図。 日本海の夜空の美しさがお気に入りの一枚です。

 

 

 

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これも前回撮影時のものですが、地上光に照らされた低い雲が立体感を感じさせてくれて気に入っています。しかしこのあと、、(以下省略)w

 

 

 

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もちろん秋晴れの日本海は申し分ありません。

秋にこの地域で快晴に恵まれることはとても幸運だそうです。

 

 

 

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晩秋の日本海を代表する星空は、低くなってすっかり中心部が隠れた秋の天の川です。

七夕の頃は頭上高く見上げた織姫・彦星も、こんなに低くなって撮影向きになります。

 

夏の大三角はくちょう座などを海越しに捉える構図は、日本海ならではの星絶景です。

 

 

 

 

 

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縦構図。

漁り火はとても明るいので星空撮影には不向きです。そのために日本海での撮影を敬遠する人もいるのですが、強い光と弱く繊細な光の両方の魅力を捉えるのは、星景撮影の表現を幅広くし、そして深めてくれると私は考えています。

 

ピアノやバイオリンの心に染み入るようなソロが素晴らしいように、メリハリの効いた交響曲のような、強弱様々な光の魅力が織りなす魅力も捉えられたらいいなと思っています。

 

 

 

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 とても小さな漁港です。

ロケハンで訪れた時に、この船と天の川の構図を見つけていたので撮影を楽しみにしていました。

漁船や港と星空の風景は大好きなのですが、強い光の問題が伴いやすい場所でもあります。これも、正面と背後からの光が強くて苦労しましたが、ほぼイメージ通り仕上がりました。正面上空にはアンドロメダ銀河が小さく写っています。

 

生活感のある日常風景と、2つの銀河が見える星空。この現実と非現実の極みのような対比感でそれぞれの味わいが引き立てあうお気に入りです。

 

 

 

 

 

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荒磯に立ち、ちょっと怖いほどのドスの効いた波音に囲まれながらの撮影。

でも荒々しくパワフルな海岸風景に対して、天空の星空は繊細で美しい音楽のようです。このアンバランス感極まるような対比に酔いしれました。

 

しかし砕ける波しぶきはミスト状となって風に乗って漂い、カメラもレンズも三脚も、そして近くに停めてある車にもミストが届いています。

こういう場所では短時間の撮影で切り上げる必要があり、慌ただしいのですが、焦っていると真っ暗闇の磯でつまずいたり三脚を倒したりなど、とんでもないアクシデントやトラブルに見舞われるリスクが高いです。

 

私はこういう場所で撮影するようになって、危険な作業に従事される方が、指差呼称したり神事を行ったりする理由が少し分かるようになってきました。

 

一番恐ろしいのは、奢りや馴れなんだと。

 

気持ちを引き締めて、自然から恵みを頂き、収穫に感謝する気持ちは、写真であっても同じだと思う次第です。

 

 

 

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前の画像と同じ場所ですが、カメラ位置と焦点距離(レンズ)を変えています。

この画像はFisheyeで、天の川が左から夏(一部)・秋・冬の部分へと連なり、日本から見える全体像に近い範囲を捉えています。ちなみに、夏が天の川銀河の中心部で、そこには2万個のブラックホールがあると言われています。冬は天の川銀河の端の方向を見ていることになります。

 

 

 

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 今回の一番のお気に入りです。

真っ暗で岩がごろごろある海岸ですが、まるで神様が宿っているかのような神々しさが感じられたので、Fisheyeから24mmまで、4本のレンズをとっかえひっかえして撮りました。

天の川がどんどん沈んでいくと、やがて繊細でサラサラとした冬銀河の領域になり、アンドロメダ銀河なども高度を下げてくるのですが、海にそそり立つ岩の厳かな雰囲気と申し分のない組み合わせ。

背景のオレンジがかった色は、日本海の遠いエリアの漁り火や遥か対岸の地上光あるいは大気光等の影響かと想像しますが、それらがピタリと美しくシンクロするタイミングで撮影できました。

夏の天の川の濃い部分は見栄えがして素晴らしいのですが、薄くて清らかな冬の銀河もこれまた宇宙の静寂感や神秘を感じさせてくれる魅力に溢れていました。

未知の絶景を求めて。 ロケハン抜きには語れないディープな星景撮影の世界。(2)

遠路はるばる訪れた地のロケハンでは、昼間の間にロケハンを行い、そのまま夜を待って撮影することが多いです。

なので、ロケハンしながらその夜の撮影候補地も絞り込みます。

 

 

ただ、初めて夜間撮影する場所では、まばゆいほどに明るい光が煌々と輝いていて撮影にはNGな場所だった、、、ということもしばしばです。

そういった事態に備えて、最低3~4箇所は撮影候補地を選ぶようにしています。

 

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こういう場所は光の問題が少ないという点で無難ですが、夜になって来てみると強烈な漁火を放つ漁船がフレームに入っている場合があり、そうなると撮影はNGです。

 

 

 

 

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ここは方角も良く、すごく期待していました。

ところが夜になって訪れてみると、左のフレーム外で、照明灯の光がこちら方向を照らしていてやはりNGでした。

何か照明の光を遮るものがあれば一応撮れるかもしれませんが、強い光は空気中で乱反射してしまうので、暗闇の撮影では、そんな僅かな光も大問題になってしまいます。

水の中を太陽光が照らすと、その部分が白く光って透明度が落ちてしまうのと同じ理屈ですね。

 

 

 

 

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こういう構図が好きなのですが、よく見ると正面に漁港入口の灯火が立っているので、撮影には厳しいかも。NGかどうかは、実際に来て確かめるまでは分かりません。

 

14mmの超広角だと灯火は遠く小さく見えますが、実際は結構近いので、光の影響を受けやすいです。

こういう場合、ゴーストの問題も大きいので、フレア・ゴーストが少ないレンズでないと使い物になりません。

 

 

 

 

 

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漁船は味わい深い対象ですが、10秒以上のスローシャッターで撮影するので、揺れるものはNGです。(漁船を光で照らしてSSを短くするなどの裏技はありますが、星空風景の雰囲気を大切にしたいので、なるべく光は当てたくありません)

陸揚げされている漁船なら揺れの心配はありませんし、船としての造形美や存在感があって好きです。

 

 

 

 

 

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テトラポットの上は危険すぎてNGですが、すぐ横の道端から、いかにもテトラで撮ったみたいな景色を狙ってみるのも面白そうです。

 

 

 

 

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ここはダイナミックな磯風景ですから期待大ですね。

ただ、海から風が吹いてくると、細かな波しぶきがかかるので、カメラやレンズによくありません。

なので、波が強い時と、風向きによってはNGとなります。

 

 

 

 

以下はNGの一例です。

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小さな漁港の明かりですが、星空に合わせて高感度で撮影するために、肉眼の印象以上に強烈です。本当は地上景をもう少し明るくして浮かび上がらせたいのですが、そうすれば漁港がさらに激しく白飛びしてしまいます。

 

明暗差を縮めてより自然な雰囲気に仕上げる方法もありますが、ここまで強烈な明暗差がある場合は、必ずしもうまくいくとは限りません。

 

 

 

 

 

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昼間見た時は味わい深い眺めで気に入っていたのですが、夜を待って訪れてみると、強烈な照明がこちらを照らしているために、空気の乱反射で空が白く光ってしまっています。

 

 

 

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とまあ、ロケハンをしても実際に夜になってみないと分からないという不確定要素が多いのも星景撮影の難しさです。

なので、夜を待って撮りに来た時も、ロケハンの続きをしているようなものです。

 

でも、条件をクリアした絶景シーンを探り当てて、ガツンとした手応えのある一枚が撮れた時の手応えや満足感の大きさも半端なく大きいので、ロケハンは単なる下調べという以上に、「会心の一枚!」という宝探しをしているような気分ですね。

 

次回は、それなりに手応えを感じられた結果を紹介したいと思います。

 

未知の絶景を求めて。 ロケハン抜きには語れないディープな星景撮影の世界。

星空を撮るジャンルは大きく2つに分かれる。

 

一つは地球以外の天体だけを撮影する「星野撮影」。そしてもう一つが地上の風景を含めて撮影する「星景撮影」。

 

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星野撮影では、星空の一角を望遠鏡を使って拡大して撮影する場合が多い。

望遠鏡を使うと、地球の自転の影響が強くて星がどんどん流れていくため、その動きを止めて撮影するために赤道儀を用いるなど、大掛かりな機材となる。

大きな望遠鏡とそれを支える赤道儀や基台の組み合わせとなると、それらの機材を設営したり、撮影したりするのは簡単ではない。

でも、空さえ見えていれば、周りの風景などは無関係なので、駐車場などの車の隣で設営して撮影するパターンが多い。

これなら何かと便利で撮影に好都合だ。

 

 

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一方、星景撮影の場合は、星空のある風景写真だ。

風景写真なので、地上や、地上に繋がっている何かが写っていなければならない。

しかも、ただ単に地上と星空があればよいというものではなく、そこから風景としての魅力が伝わってくるものでなければならない。

 

例えば天の川と海と船が狙える場所なら、それぞれが良い位置に収まって何かドラマを感じるようなシーンであれば、単なる星空の迫力を超えた作品性が生まれてくる。

 

 

そのようなポイントを夜中に見つけるなどほぼ不可能に近いし、危険でもある。

だから撮影前の明るい内に下調べ、つまりロケハンを行っておく必要があり、夜に撮れる風景は昼間の内に決まっていると言うことになる。

下の作品も、ロケハン時にこの構図をイメージした通りに撮影したものだ。

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で、実際のロケハン時に撮影したのが以下の画像。

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波に浸かりながらの迫力満点の構図!

いえいえ、防波堤に肘をついてカメラを構えています。

ネタをバラせば「なぁ~んだ」と思うでしょ?

 

写真というのはフレームの中で完結し、フレーム外へとイメージが広がる世界ですから、こういう構図を見つけるのもある意味撮影テクニックのようなものです。

ちなみに、撮影時には右に傾いた天の川が良い位置に収まる構図です。(以下の画像も同様です)

 

 

 

 

 

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バスケットボール大の石がゴロゴロしているので三脚を安定して立てるのが難しそうです。

星空よりも海を含む地上景の占める割合の方が多いので、真っ暗な中、どこまで地上景を浮かび上がらせることができるか? 露出が厳しそうです。

月が照らせば解決しますが、そうすると天の川が希薄になってしまうので、やはり星明かりだけの夜にこだわって捉えたい。

 

 

 

 

 

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同じ浜でも、場所を変えれば違った雰囲気で狙えることもあるので、こうして試し撮りしておきます。

 

 

 

 

 

 

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細い松がちょっと邪魔か、、、 惜しいけど見送り。

 

浮世絵風の一枚が狙えそうだと思いました。

これは星よりもむしろ月夜に向いているシーンですね。

 

 

 

 

 

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遠近感の効いた絵画風な構図。遊歩道と眼下の浜辺風景が叙情的で気に入りました。

これに天の川と満天の星空! 良さそうではありませんか。

ロケハンでこういうシーンを発見できると、本番の撮影が楽しみでワクワクしてきます。

 

星空は秋の装い。 天頂の銀河は神秘のヴェール。

9月の新月期間は、台風や秋雨前線の間隙を縫って、イチかバチかのスクランブル出撃体勢を敷いていました。

 

雲や霧に阻まれて収穫ゼロの可能性も高いのですが、1年12ヶ月、それぞれの星空劇場の演目は変わり続けます。

なので、8月の撮影が充実したからと言って、9月は休みというわけにはいきません。

 

ちなみに9月の演目は、天頂のはくちょう座と、黄道光や冬銀河を従えて明け方前に登場するオリオン座です。

14日と21日に天気図を見て出撃。星空に出会える確率は五分五分でしたが、いずれも星空劇場の特等席を見事ゲットすることができました。

 

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目指すはアンテナ塔がある山頂。

車を停め、12kgのリュックを背負い、手には重ね着や三脚も持って真っ暗な山の中を歩くこと40分。運動不足の体には過酷な道のりです。(><;)

夜中にこんな山奥に行く人なんて誰もいませんが、いろんな暗闇で過ごす経験を重ねると、怖さは殆ど感じず、むしろ漆黒の異次元世界に身を委ねる境地に浸ることが心地よくすら感じられます。

 

たぶん、そうやって辿り着いた特別な場所で神聖な星空と向き合うと、祈りにも似た無心の境地に浸れるからでしょう。

そういう時って、瞑想と同じような体験ができているのだろうなと想像しています。(煩悩が消えてなくなるわけでもないですけどね。w)

 

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9月とは言え、標高1300近いこの場所は吐く息が真っ白。

持参したダウンジャケットと冬用のオーバーパンツを着込んで撮影を開始。

 

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午後10時前。はくちょう座をはじめとする、秋空のオールスターをフィッシュアイレンズで一網打尽にしました。

肉眼では真っ暗で、星がキラキラと輝いているのですが、カメラだと微弱な光をここまで明るく捉えることができます。

下の解説画像を見てからもう一度上の画像で確認してみると、また星空が違って見えると思いますよ。

 

 

 

 

 

 

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これはアンテナの近くから秋の天の川を横構図12mmで。

 

 

 

 

 

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近くの別のアンテナをフィッシュアイで。

こちらのほうが真上を見上げた感がするかも。

 

 

 

 

こちらは違う場所で、明け方前の黄道光と天の川が描く光のXとオリオン座です。

月のように見えるのは金星で、とても明るいので、ススキがその光に照らされて浮かび上がりました。

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10月はオリオン座流星群もあるので、ぜひ狙ってみたいですね。(^^)

 

夏のクライマックスに、猛暑がもたらしてくれたプレゼント。 太平洋にそびえる天の川は、まさに星の花火大会。(撮影編)

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(※以下の全ての画像はクリックして表示をおすすめします)

これは往路途中の奥高野で車中泊したことがあるのですが、その時に撮ったもの。

前が見えないほどの濃霧→土砂降りの中到着したのですが、やがて雨雲が通り過ぎると劇場の幕が開くように星が煌めき始め、圧巻の天の川が登場!

まるで前夜祭の祝賀花火のようで、翌日の撮影に期待が膨らみました。

 

 

 

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前回紹介したロケハンに続く後編です。

あの強烈な太陽が沈み、目眩がするような暑さからようやく開放されました。

 

雲一つ無い空に大気が描く、薄明のグラデーションに癒やされます。

と同時に、機材の設営と設定、構図決めなどで慌ただしく過ぎる時間でもあります。

 

 

 

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暗くなるにつれて星が現れ始め、天の川の登場を待ち構える時間の、あのワクワク感は花火大会と似てますね。何度味わってもいいものです。

 

そんな時間帯を意図して撮ってみたのが以下の3枚。

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F値は上げず、手前の植物だけにフォーカス。

ボケ味を効かせた背景が醸し出すムードと共に、夕刻の優しい光ならではの情景仕立て。

 

 

 

 

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夜の気配に包まれ始め、天の川がおぼろげに登場。

玉ボケの星が、夏の星座であるさそり座を浮かび上がらせました。

盛夏ならではの季節感を印象的に。

 

 

ちなみに私もさそり座なので、親近感のある星座だったりします。

 

 

 

 

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すっかり闇に包まれると満天の星空と圧巻の銀河が登場!

まさに太平洋上で繰り広げられる花火大会のようです。

 

 

 

 

 

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以下の2枚は、ほぼ同じ場所ですが異なる日・異なる時間帯で捉えたものです。

時間帯によって方向と角度が変化する天の川に合わせて、カメラ位置を変えています。

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21時頃の天の川に合わせた構図。(14mm)

やや左へ傾いた天の川を中心に、木星土星とさそり座、手前の磯と海上の離れ磯、それぞれの位置関係で宇宙と自然の調和を意図しました。

 

 

 

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23時頃の天の川に合わせた構図。(21mm)

2つの離れ磯と天の川が直列構成となるタイミングを狙いました。

 

木星へと流れる流星が、一瞬と無限の対比を感じさせるアクセントになりました。

 

 

 

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カメラが2台あれば同時に2つの構図が狙えるので、遠征の貴重な撮影機会でより多くの構図が撮影できます。

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暗闇でも明るく捉えられるカメラの性能を活かし、ファンタジックなムードで。

この中にもう一台のカメラが写っています。

 

 

 

 

 そのカメラが捉えていたのがこれ。

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天の川が岩と岩の狭い隙間に収まる構図を待ち構えてセットしておいたものです。

 

縦構図は躍動感や迫力を表現しやすいので、縦方向の要素で構成したダイナミックなシーン狙いでした。

 

 

 

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 地層がくっきり現れた磯を生かして異次元的な雰囲気を。

  

 


 

 

 

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左隣の磯のカメラでスペースファンタジーっぽく。

この日は大気の透明度が良好で、天の川のディティールがここまで細かく捉えられると、まるで地球外から見ているみたいな気分になります。

 

 

 

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ガラリと雰囲気を変えて、、、

太平洋をバックに、和風テイストでノスタルジック&メルヘンチックに。

空が青く明るいのは、背後に月が昇ってきたからで、こういう場合は月明かりが雰囲気作りに一役買っています。

 

 

 

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 こういう被写体が発見できたのもロケハンの成果です。

 

 

 

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2月の末から南紀の磯に通い始めて半年。

コロナの移動自粛や異例の長梅雨に阻まれて思うように出かけられませんでしたが、それでも延べ9回の遠征で下道ばかり4000km近くを走り、南紀の沿岸を幅広くロケハン&撮影でき、様々な星風景と出会うことができました。

 

今後は荒々しい磯の星風景にとどまらず、さまざまな場所で個性的なシーンも捉えてみたいですね。

 

 

夏のクライマックスに、猛暑がもたらしてくれたプレゼント。 太平洋にそびえる天の川は、まさに星の花火大会。(ロケハン編)


いよいよ太平洋高気圧の登場です。

前回で肩慣らしも済ませ、8月の新月期間が始まりました!

梅雨明け以降の夏の星空と言えば、このお盆期間ワンチャンスです。

この時期を撮り逃がせば今年の夏空は終わりですから、そうはさせじと気合が入ります。

 

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(地図ルートは出発点と到着地を曖昧にしています)

星空の宝庫。南紀

高速だと半分くらいの時間でたどり着きます。

でも、その2時間半に費やす高速代は片道で3410円。これってほぼ往復のガソリン代に相当します。

だったら片道2時間半余計にかかっても、下道をチョイス。

毎回車移動だけに1万円もかけるよりも、節約した分回数多く撮影したいですしね。

 

紀伊山地の山道はバイクツーリングの思い出も重なり、1時間以上信号待ちなしで山深い大自然の中を快走できるルート。ワインディングロードも好きなので長時間ドライブは大して苦になりません。(^^)

 

それでも昨年までは南紀に対してとても遠いイメージがありました。

でも今年はすでに6回往復していますから、その印象もずいぶん変わってきました。(笑)

そんなわけで距離感なんて、物理的以上に心理的なものなのでしょう。

結局このお盆新月期間に3回南紀へ行きました!

 

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撮影場所付近には大抵午前中に到着します。

日暮れまで半日以上ありますが、この時間を使って新しい撮影スポットを探索(ロケーション・ハンティング)するためです。

せっかく遠くまで来ている貴重な機会ですから、撮影場所探しも重要な取り組みの一つ。まさに「写真は足で撮れ」と云われる所以です。

 

しかし一言でロケハンといっても、天の川が絵になる場所というのは意外と少ないものです。

まず、天の川方面に海が開けていること。

適切に車が駐車できる場所があること。

なるべく車と撮影場所が近いこと。

 

こういった条件を満たしそうな場所を予めGマップでチェックしておいてナビに候補地点をセットしてあります。

しかし、現地でもし絵になる場所だったとしても、離れた道路を走る車のヘッドライトが撮影する方向を照らすようでは台無しです。

またすぐ後ろに照明灯が立ってたり、近くに集落があってもその光の影響は無視できないほど大きいことがあります。暗くデリケートな星明かりを狙うだけに、意外とこういうパターンも多いのです。

 

そして何よりも真っ暗な状況で撮影ポイントにたどり着けて戻ってこれるかを安全面からチェック。これが何よりも肝心なのです。

 

以下の画像のような場所があったとして、ここが真っ暗な状況を想像しながら下見をするわけです。

ライトを点けても見える範囲は自分の前方2m四方あるかないかといった感じになりますから、その中でどこをどう通ってどこに三脚を立てるかなどを考えます。もちろん帰る時の目印もしっかり頭に入れます。

 

いい場所だと気に入っても、夜間の満潮で潮が満ちてくる場合もありますから、干満情報も重要です。

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下手をすると、海に囲まれてしまって戻れなくなる場所だってあります。

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ここは実際に真っ暗な時間帯に撮影のために通ったルートです。この斜め岩しか通れない場合、重い機材を背負ってどう通るかをシミュレーション。

滑り落ちるとそこは海です。もし確実に渡り切る方法が見つからなければここはNGで断念しますが、入念に調べて渡れるラインがありました。

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こういう場所は移動が簡単で苦労が少ないのですが、道路を走る車のライトが海を照らす場所なので大抵は景色が良くてもNGです。

 

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これは廃道となった旧国道です。

後方に現在の国道が通っていますが、そこからは死角でほとんど見えない場所です。

ややヘッドライトの影響があるものの、海にせり出した断崖なので、絶好の撮影スポットでした。

こういう穴場を発見するのがロケーションハンティングの醍醐味です。

 

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同じ場所です。午後11時頃に天の川が真正面に立ち上がることが判明。

良い画が撮れそうです。

 

 

他にも地図にないような脇道も探索します。

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 ある程度見込みのある場所を訪れるのですが、それでも半分以上はNGです。

本当にいい場所は、他人には秘密の場所ですから、結局地道に探索して見つけるしか方法はないのです。

 

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磯へと続く細い道を見つけると期待でワクワクします。

 

 

 

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ガラゴロ動く石だらけの浜は歩きにくいです。猛暑にうだる中、汗だくになるので、日焼けと熱中症対策は必須です。

油断して脚をくじくなどのないよう、一歩一歩に神経を集中しますが、ほぼ登山と同じ位の慎重さで行動。

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こういう車大の岩だらけの場所もあります。

行き止まりだらけの迷路なので、勘と読みを働かせますが、あまり夜中にうろつくような場所ではありませんね。

行動できる時間はせいぜい30分。焼け岩を彷徨ってまるで熱地獄の惑星を探索する宇宙飛行士です。

 


暑さでへとへとになって車に戻り、電解質ドリンクとエアコンで生き返ります。(笑)

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いつかこの構図で撮影してみよう。(^▽^)”

 

 

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こういう場所ですが真夜中に人が来ないマイナーな絶景スポットも狙い目です。

車の近くで安全に快適撮影できる幸せが堪能できそうです。

 

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ロケハンを終えたら、夜の撮影地を決めます。だいたい一晩で2ないし3箇所で撮影する場合が多いです。

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最初の撮影ポイント付近で夕食。ロケハンで消耗した体力回復のため、料理の手間はかけずお手軽なパンで夕食を済ませます。

 

昼間の雲は徐々に減っていき、夜間の快晴に期待が膨らみます。

 

撮影編につづく。

梅雨明けで星撮りシーズン後半が開幕。満月直前だけれども肩慣らしに出かけよう。

今年の梅雨は晴れ間がほとんどなくて長かったですねー。

おかげで撮れないフラストレーションがたっぷり溜まってしまいました。

 

ようやく待望の梅雨明けを迎えたのは良かったのですが、それが運悪く満月期間で、さらに星空が撮れない日々がさらに10日近く続くのが困りもの。

 

「もう星が撮れないなら月でもいい~。」(><;)

 そんなわけで、N-VANにカメラを積んで出かけました。

 

★★★★

 

 

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深い山々に囲まれた大自然の真っ只中。トンボがたくさん飛んでいました。

 

 月が出ていなければ見事な天の川が山並みの向こうに立ち昇る場所ですが、今夜は月の明るさに埋もれてしまって見ることも撮ることもできない条件。

しかし、実は月のある風景ってとっても難しいのです。

 

★★★★★

 

 まぁ、仮に写真がダメだったとしても、せっかく素晴らしい場所に来ているのですから、まずは絶景メシを堪能することにしましょう。

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車の真横ならではのお手軽さで、道具箱から出して並べるだけ。

ほとんど女の子の「ままごと」と変わらないレベルですね。

 

 

まずは炊飯から。

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固形アルコールが気化して少し痩せているようだったので、コンロで1分ほど温めてからセットしました。

前回は、カレーにピッタリのほんの少し硬めだったので、今回はちょっと水を多めにしてしっかり火を通し、ふっくらな仕上がりを期待。

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風には鉄壁の防御態勢で、加熱ロスを許しません。

ちなみに五徳代わりに銅板を敷いて、底全体に均等加熱します。

銅板が広い面積で炎の熱を集めてメスティンに伝えるので、これは確かに効果が高いと感じています。

 

ただ、鉄壁の防御態勢ゆえに固形アルコールが燃え尽きるところを目視確認できないことに気が付きましたが、炊飯を始めてしまってからでは後の祭りです。(><;)

タイマーで20分を計るようにしておけばよかった、、。

 

まぁ、こういう試行錯誤も、それはそれでまた楽しいわけです。(^^)

 

 

★★★★★

 

炊きあがったメスティンをひっくり返して缶詰とともに保温袋に入れ、蒸らしている間にカップラーメン用のお湯を沸かします。

 

 

そこで登場した今回のグッズがこれ。↓

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『吸熱フィン』が装着されたケトルです。

 

 

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ステンレスのケトルはなかなか沸かなくて、CB缶のガスが減って火力が弱まり始めるといよいよ沸かない不安がつきまとっていたのですが、これは見た目通り抜群の熱効率でみるみる沸くというスグレモノ。

すっかり気に入りました♪

 

★★★★★

 

 

はい、リアルままごとの食事準備完了です!

 

妻役:「おとうさ~ん、ごはんできたわよ」

夫役:「おぉ、そうか、今日の献立はなにかな~」

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妻:「ラーメンと焼き鳥丼よ、特別にアルコールフリーのビールもどうぞ」

 

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夫:「ぷはーっ、やっぱり夏はアルコールフリービールだな。焼き鳥丼にぴったりだ」

  「ご飯の炊け具合もいいじゃないか。 おまえ、料理の腕を上げたな」

妻:「まぁ、アナタったらお上手ね」

二人:「あははは、、、」「おほほほ、、、、」

 

 

 

 

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静かに暮れてゆく景色を眺めながらの食事は最高です。

こういう場所で食べると本当に美味しくて幸せな気分に浸れますねぇ。

 

写真を撮る前に山奥の新鮮な空気と食事を堪能しただけでも、はるばるここまで来た甲斐があったというものです。

 

 

★★★★★

 

 

さて、どんどん日が暮れて行き、おままごとセットの片付けも済ませたら。次は撮影機材を設営。

 

日が暮れてしばらくすると雲の向こうからまばゆい月が登場。

月の撮影は難しい、と書きましたが、その難しさを例えるなら、真っ暗な体育館に一つだけ照明器具が点灯しているみたいなものだから、やたら明るい月とそれ以外が暗すぎるという状況が難しいのです。

 

そこで、ブラケット撮影とHDR合成を組み合わせて、月の光から山並みの明暗差までをカバーする技術を使い、どうにか仕上がったのがこの一枚。

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右上から木・土・月・火という順番で星が並びました。

ちなみに火は火星ではなく「火球」の火です。

 

なんと幸運なことに、花火みたいに流れて弾ける流星(火球)が写るラッキーに恵まれました。

普通の流星なら、明るい月の隣では写真に写らないのですが、火球だったのでしっかりと写ってくれました。

私はレリーズリモコンで操作していたので、肉眼でハッキリと目撃できましたが、一瞬打ち上げ花火が弾けたのかなって思うくらいに見えてビックリでした。

 

ダメ元覚悟の月狙いでしたが、食事も楽しめて、火球も目撃&撮影できてと、収穫がありました。

 収穫といえば、2台体制で撮るつもりでしたが、三脚の一つには雲台を付け忘れていました。(><;)

 結局1台での撮影になりましたが、これが天の川バッチリの時だったら痛恨のミスになるところで、今回ダメージのないミスで気づけたのですから、やっぱり出かけて良かったです。(^^ゞ

 

★★★★★

 

 

次の撮影本番となる新月期間は、お盆からお盆過ぎ頃になります。

またぞろコロナの感染拡大が騒がれているのが気掛かりですが、移動自粛がかからないことを願いつつ撮影準備を整えていこうと思います。

 

あ、コーヒーなんですが、用意はしていたのですけどね。

ラーメンとアルコールフリービールでお腹がたぷたぷになってコーヒーの気分になれず、出番がありませんでした。(笑)